データ収集:倫理委員会の承認を得た後、平成19年6月から総合病院2施設で面接調査を開始した。面接は、冠動脈バイパス術後退院前(第1回)、退院後約1ケ月(第2回)、約6ケ月(第3回)、約1年(第4回)の計4回を予定しているが、初期計画どおり第3回の面接調査まで終了した。 対象:対象は11名(男10、女1)で、平均年齢は67.7歳(52〜81)であった。 分析結果:第1回の面接で得られたデータを質的帰納的に分析し、最終的に13の「冠動脈バイパス術を受け退院を控えた患者の虚血性心疾患再発予防に向けた取り組み」を明らかにした。1.これまでの生活と病気の発症・再発とを結びつけて考える、2.これまでの生活を振り返り退院後の生活における注意点を挙げる、3.これまでの悪しき習慣は止めると決意する、4.入院前から実践してきた健康的な生活を続けていこうと考える、5.入院が機となり身に付いた良い生活習慣を退院後も継続していこうと思う、6.我慢はほどほどに生活に楽しみを持とうと思う、7.再発予防のための理想的な生活の継続に対する自信のなさを自覚する、8.家族や親しい人に頼れることは任せようと心積もりする、9.再発予防に関する具体的な知識を主体的に得る、10.再発予防のための理想的な生活に至る過程に見通しをもつ、11.心臓に負担がかからない生活環境を準備するため周囲に働きかける、12.退院後の生に前向きな姿勢をもつ、13.心臓に良い生活を実行するための心構えをする。本研究の結果は、冠動脈バイパス術が患者にとって、疾患の再発予防に留意した生活を構築する契機となることに加え、患者が入院中から自分の意志の弱さを意識することを示しており、再発予防に留意した生活に向け準備を進ある過程において、心理的な支えとなるケアの重要性が示唆された。現在、第2回目以降の面接で得られたデータの分析の途中であり、今後、各時期における有効な看護を見出していく予定である。
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