データ収集 : 昨年度に続き当初の予定通り、対象者が退院後1年を迎えた7月〜8月に最終のデータ収集(第4回)の面接を行った。対象 : 対象は8名(7男、女1)で、平均年齢は66.9歳(61〜81)であった。第4回目の面接は、仕事の都合や他の疾患に罹患し加療が必要となった者がおり、2名の患者を対象から除外した。分析結果 : 退院後1ヶ月(第2回)、退院後6ヶ月(第3回)および退院後1年(第4回)の面接で得られたデータを時期ごとに質的帰納的に分析し、各時期における患者の虚血性心疾患再発予防のための取り組みを明らかにした。分析の結果、最終的に得られたカテゴリーは、退院後1ヶ月は11(1. 生活変容の必要性を受け入れ我慢する、2. 周囲の協力や支えに感謝し助言を守る、3. 約束を組み込んだ生活パターンに自分を乗せる、4. 確実に誘惑に打ち勝てる方法をとる、など)、退院後6ヶ月は7(1. 気持ちを切り替え新たなスタンスで生きる、2. 誘惑を振り払う、3. 長続きのために息を抜く、4. 周囲に支えを求める、など)、退院後1年は7(1. 続けることで現れた効果を評価し糧とする、2. 今後の生き方を見据える、3. 自分に合った方法を探り続け実践する、など)であった。考察 : 退院前から退院後1年の全時期において、患者の取り組みは手術によって得た生への感謝と責任感による生活変容の意思から生じており、現状を前向きに捉える肯定的な感情によって支えられていた。退院前はこれまでの生活を振り返り再発予防に留意した退院後の生活を思い描く時期であり、退院後1ヶ月は自分なりの方法を模索する時期であった。退院後6ヶ月には、患者の生活の再構成のプロセスは維持期に入っており、退院後約1年には元々の生活におけるQOLや生きがいをいかに再現するか、再発予防に留意した日常生活を送りながら今後の生き方を見据える段階に至ることが示され、そこから各時期を抑えた看護の方向性が導かれた。
|