1.予備調査:ICD植込み患者の療養経験の概念枠組みの構築にむけた面接の実施と結果・考察看護者は、患者が病気によって引き起こされる様々な状況についてどのように認識し、関心を抱いているかを尋ねることにより、患者の病いの経験を具体的に把握することができるといわれている。そこで、療養生活上の気がかりや期待、気持ち、認識などの「関心」を明らかにすることを目的に、植込み後6カ月以上経過した男性12名を対象に、半構造化面接による質的記述的研究を行った。療養生活上の関心は、《不整脈に関すること》《ICDに関すること》と不整脈を起こさないため、lCDに影響を及ぼさないための《日常生活の再構築に関すること》《lCDを植込んで生きること》であった。そして、患者が日常生活で直面する問題に適切に対処するための看護では、安全な生活活動の許容範囲と拡大方法とその判断という生活活動の調整に必要な具体的な情報提供と、不整脈の経験にあわせた知識提供が重要であると考えられた。また、患者が抱く関心の内容や時期は療養経過の中で変化することが推察され、lCD患者の療養経験にそった支援を行うためには、関心の変化を把握する必要性が示唆された。つまり、患者と家族の療養経験に寄りそう支援に資するために、療養経験の変化を明らかにする意義が明確になった。なお、本結果は一般口演し、今後症例を重ね論文投稿する予定である。 2.本調査 予備調査の結果から療養経験に関する面接内容を再考した後に本調査を開始した。現在、対象者は患者20名とその家族5名、最短1ケ月〜最長1年まで経過している。なお、本研究の確実性を確保するため、ケース毎かつ経時的に分析と調査を同時に行い、毎回対象者に前回の内容を確認し、スーパーヴイジョンを受け進めている。なお、1事例について示説発表した。
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