研究概要 |
変形性膝関節症患者の"生活上の困難""として【症状による辛苦】【生活動作の難しさ】【生活における不自由さ】【役割遂行の難しさ】【楽しみ・生きがいの喪失感】【人と関わる上での苦悩】【将来の生活に対する危惧】【治療・療養行動上の負担感】の8表題が明らかになった."セルフケア能力"として【自己への関心と責任】【適切な認識と判断】【自己の状況に対する前向きなとらえ】【自己理想をモチベーションに変える力】【自己の取り組みを継続し効果を辛抱強く待つ力】の5表題, "セルフケア行動"として【自己に必要な診療の継続と治療の遵守】【自己の状況に対する適切な情報の獲得】【有効な周囲の助けの獲得】【病気・症状悪化予防のための能動的な取り組み】【楽に日常生活を過ごすための工夫】の5表題が明らかにされた. これらの結果は, 看護職者における一次性膝OA患者の生活上の困難に関する理解を助長し, 患者自身が能動的にセルフケア行動を遂行できるための看護介入の検討に寄与するものと考えられる. 我々の次なる目標は, これらの概念を尺度化し, 膝OA患者の生活上の困難とセルフケア能力, well-beingとの関連を明らかにすることである. 現在, 本研究結果から尺度原案を作成し, 信頼性・妥当性のある変形性膝関節症を抱える患者の生活上の困難およびセルフケア能力を測定する尺度開発を試みている. 整形外科医師, 看護師の協力のもと内容妥当性を検討し, 12名の患者に予備調査を試み表面妥当性が検討された.
|