本研究は、外来化学療法中のがん患者に看護師が介在して精神症状評価ツールであるつらさと支障の寒暖計を施行し、精神的支援の必要性の有無を評価するシステムの実施可能性について検討するものである。本年度は施設的倫理審査委員会にて当該研究について承認をえた後、研究計画に沿って調査を開始した。平成19年6月26日より同年12月28日までに広島大学病院において外来化学療法を受けるがん患者に対じ、看護師より133名に調査紙を配布し、研究への参加同意を得られたのは130名(平均年齢58.0[26-76]才。男46名。乳がん32、悪性リンパ腫18、胃がん17、結腸・直腸がん16、膵がん10、卵巣がん6、肺がん5、肝門部胆管がん5、子宮頸がん4、食道がん4、そめ他13。再発がん50、アジュバント治療21。)であった。つらさと支障め寒暖計はのべ388回(1名につき1-8回)施行し、つらさが4点かつ支障が3点以上であつたのはのべ53回、40名であった。精神科で加療中の2名をのぞき、38名に看護師より精神科医による面接をすすめ、同意したのは6名であった(平均年齢61[44-70]才。男1名。乳がん2、結腸がん1、肺がん1、悪性リンパ腫1、食道がん1。再発がん4。)。精神科医による面接の結果大うつ病(現在軽症)1名;大うつ病(部分寛解)1名、適応障害4名であった。面接調査への満足度は平均78.3% (標準偏差14. 7%)であった。32名が精神科医による面接を拒否しており、心理的ハードルを下げるとともに継続したサポート体制を構築することが課題であるが、一部の対象者には本研究の介入効果はあったと考えられる。
|