本研究は、心肺蘇生を受けた患者の家族に対する心肺蘇生中の認識と思いについて調査した。 心肺蘇生を受けた患者の家族を対象に調査を実施し、5名よりインタビューを行った。対象者の年齢は、30代1名、50代2名、60代2名で、平均年齢は53.6±14.57歳。患者との関係は、配偶者3名、母親2名。また、救命救急センターで心肺蘇生が行われた患者の転帰は死亡4名生存1名、立ち会いをおこなった家族は2名であった。面接時期は、退院後0〜99日の範囲内で、平均57.2±37日。面接時間は、27〜46分間の範囲内で、平均35.2±8.6分であった。 心肺蘇生を受けた患者の家族の認識については、多数の管や医療機器に囲まれた患者の「変わり果てた姿」や医療用語がとびかうただならぬ雰囲気を一場面でも経験すると、死が迫っているという思いが芽生え、その後もその思いが持続していることが考えられた。また、心肺蘇生を受けた患者の家族の思いについては、「医療者の迷惑になるのではないか」「家族は待合室で待機するのが常識ではないか」などの語りがあり、医療者への遠慮があることが考えられた。 家族のさまざまな認識と思いから、自分の大切な人の最期をきちんと自分の目で見届けられたという事実によって後々後悔の念を持つことは軽減できるのではないかと考えられた。 医療者は、救急車や初療室入室中にずっと付き添っている家族が患者の急変や蘇生の際に極度の動揺がみられてないか、家族の立ち会いに対する意思など総合的に把握したうえで、家族への援助方法を判断する役割があると考える。 家族が立ち会いを希望するか否かは、患者の年齢や生命予後、患者の外観上の変化などによって異なり、立ち会いの有無が愛する家族の死を受け入れるための要因となる可能性が考えられる。 今回の調査では、立ち会うことが有益なのか有害なのかを示す結論は得られていないが、家族に対して立ち会うことを望むかどうかを確認し、蘇生現場での立ち会いの機会を与えることについては、否定するものではないことが示唆された。
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