本年度は、高齢がん患者が"がんと共に生きる"ことの様相を明らかにすることを目的とした調査をために以下の目的を実施した。 1. 昨年度から継続していた質的調査については、研究協力者24名にインタビューを実施し、高齢がん患者が"がんと共に生きる"ことに対する受け止めとして<この年だからがんは些細なことと思える><人生を全うする><虚弱な自分を実感><がん療養の苦痛>の4大カテゴリーと10カテゴリーおよび37サブカテゴリーが抽出された。これらのことから、高齢がん患者は、<がん療養の苦痛>や加齢による<虚弱な自分を実感>するという衰退の要素を持ちながらも、<この年だからがんは些細なことと思える><人生を全うする>という人生経験より得たたくましさともいえる成熟の要素をうまく使い、がんという脅威に適応しているとカテゴリーの関係をとらえることができた。この結果より、高齢がん患者は高齢者特有の適応状況があることを示唆しており、高齢がん患者の看護を考えていく上での重要な情報を明らかにできたと考える。なお、この研究内容は第23回日本がん看護学会学術集会に発表し、現在がん看護学会誌に投稿するための論文作成をしている。 2. 量的調査としてがん患者の適応を測定するMACKスケールを使用し調査を実施中である。現在までに約30例のデータを得ることができており、引き続き次年度も質問紙調査を実施する。トータルとして100〜200例を目指して実施していく予定である。 3. 高齢がん患者が"がんと共に生きる"ことに関連する資料・情報収集および国内外の学会にて途中経過を発表し、研究の示唆を得る目的で、15^<th> International Society of Nurses Cancer Careに参加し、前年度分の研究結果を発表するとともに情報収集および文献検討を実施し、研究の示唆を得た。
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