本年度は、高齢がん患者が"がんと共に生きる"ことの様相を明らかにするために以下の目的を実施した。 1. がん患者の適応を測定するMACKスケールに、昨年度実施した質的調査の結果より抽出されたカテゴリーを合わせた質問紙を作成し、101名を対象にして質問紙調査を実施した。質問紙調査の結果、がんに罹患しつつも、その状況を肯定的に受け止めて"がんと共に生きて"いることが結果として示された。また、自分なりに考え一生懸命対処しながら意思決定しており、最後の最後まで諦めずに遣り通す、生きることに対する真摯な姿勢が伺われた。そして、第一線から退き、自分なりによく生きてきたというような悲壮感を感じさせない受け止めをしていた。これらの結果より、"がんと共に生きる"ことに対する受け止めに高齢という年齢も影響を与えていることが示唆されていた。以上から、高齢がん患者の看護を考えていく上での重要な情報を明らかにできたと考える。 2. 昨年の質的研究の結果については、現在がん看護学会誌に投稿する予定で論文を作成している。 3. 第23回日本がん看護学会学術集会に参加し、質問紙調査の結果の一部を発表するとともに高齢がん患者が"がんと共に生きる"ことを支援するケアの枠組みやその有効性について意見を得た。
|