高齢がん患者が"がんと共に生きる"ことへの支援に関する研究として、高齢がん患者が"がんと共に生きる"に対する受け止めおよびその関連性を明らかにするために質・量的研究を実施した。研究の結果、高齢がん患者が"がんと共に生きる"に対する受け止めとして、<がん療養の苦痛>や加齢による<虚弱な自分を実感>するという衰退の要素を持ちながらも、<この年だからがんは些細なことと思える><人生を全うする>という人生経験より得たたくましさともいえる成熟の要素をうまく使い、がんという脅威に適応していることが明らかになった。また、カテゴリーの関連性を検討した結果、高齢がん患者は自分なりに考え一生懸命対処しながら意思決定しており、最後の最後まで諦めずに遣り通す、生きることに対する真摯な姿勢が伺われた。そして、第一線から退き、自分なりによく生きてきたという高齢者の特徴というものもがんと向き合うことに関連しており、たとえがんになったとしても悲壮感を感じさせない高齢がん患者の背景の一つと考えられた。一方、生きがいを感じて生きている者は半数に留まっており"がんと共に生きる"上で充実した日々を送る上での課題が示唆されていた。
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