本研究の目的は、めまぐるしく変化する退院移行期に虚血性心疾患患者が、どのように生活の再編成を行なっているのか、患者の立場から記述する。また、退院を控えた入院中と退院直後では生活リズムがどのように変化するのかに注目する。さらに、性差という視点から、どのような特徴があるのかを見出すことを目指すものである。本研究での退院移行期とは、退院前から退院後1ヶ月程度を目安とする。初年度は、退院後約2ヶ月までの虚血性心疾患患者16名(男性11名、女性5名)に質的研究を行なった既存のデータを継続して分析し、結果の一部を発表した。しかし、女性対象者が少ないため、引き続きデータ収集・分析を行う予定である。虚血性心疾患患者を対象とした文献検討では、ライフコーダや万歩計等で活動を測定したり、尺度を用いて心理的・社会的側面を評価したもの、質的に患者の体験や思いを明らかにしたものは多い。しかし、性差に注目した国内研究はまだ少なく、性差医学・医療学会等にも参加し、他領域での研究結果や見解も参考にした。本研究では、データ収集方法として、退院前から退院後にかけて対象者にインタビューを行なうと同時に、生活リズムの変化を腕時計型精密測定センサー(米国AMI社アクティグラフ)を用いて測定する計画である。そこで、装着具合や測定方法を検討するために、アクティグラフを購入し、健常成人4名を対象にプレテストを行なった。その結果、非利き腕に10日間装着してもらったが、入浴後の装着忘れや装着に慣れるまでの違和感があげられた。また、活動状況を詳細に調べるために、測定モードや装着部位、装着日数、睡眠・活動日誌をさらに検討する必要があることが分かった。
|