本研究の目的は、虚血性心疾患患者が、退院移行期に生活の再編成に向け、どのような試みをしているのかを明らかにすることである。また、性差に注目するとどのような特徴があるのかを見出すものである。 22年度、冠動脈インターベンション(PCI)治療を受けた虚血性心疾患患者を対象者(60名:男性45名、女性15名)として、データ収集と分析を行い、結果の一部を心臓リハビリテーション学会、看護研究学会等で発表した。 1.退院前後の生活リズムと生活の質(QOL)の変化 携帯型加速度センサーにて生活リズムを測定し、SF36ver2を用いてQOLの変化を検討した。これまでの分析から、一方、退院後のLgsep:最長睡眠エピソードの長さは、男性よりも女性が要意に増加していた。待機的PCI患者と緊急PCI患者の比較では、待機的PCI患者が退院後のAmean:平均身体活動数が有意に増加し、退院直後から活動を拡大しているようであった。 QOLは、現時点で性別による有意な違いは認められていない。しかしながら、器質的には冠動脈狭窄部位の治療が成功していても、退院後1週間、1か月目のQOL有意に改善しでいないことが明らかになった。今後、年齢、家族サポート、治療経過の状況など様々な要因も考慮した分析を行う予定である。 2.退院後の生活再編成に向けた取り組み 退院後初回外来時に生活における試みなどについて半構造化面接を行い、質的にデータ分析をおこなっている。待機的PCI患者においては、食生活や運導習慣の取り入れなど生活習慣の改善や内服管理を行っても、再狭窄してしまう現実ど直面し、取り組みに対する意識が変化することが示唆された。
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