今日の核家族化・共働き世帯の増加という家族形態の変容は、家族機能を低下させ、このような中、家庭や地域の子育て支援システムの構築が必要とされ、子育てを支える内的支援資源として祖父母の担う役割機能に期待が寄せられている。その一方、身体的疲労や育児方針の相違に悩む祖父母の存在も指摘されている。「祖父母となること」は、親役割から新たな祖父母役割への移行過程であり発達課題である。そこで、本研究では「祖父母となること」を生涯発達視点から捉え、「祖父母となること」の発達を測定する尺度の開発を試み、発達に影響する要因を検討する。本年度は、「祖父母となることの発達」に関する質問項目の内容妥当性の検討を行なった。 これまでの研究で構成した「祖父母となることの発達」に関する34項目の質問内容について、国内外の人格発達研究や祖父母機能についての先行研究結果と照合し、妥当性を検討した。また、家族看護に精通した母性看護領域の専門家とともに本研究が定義した「祖父母となることの発達」項目として妥当であるか、対象者が答えにくいものではないか検討した。さらに、幼児期の孫をもつ祖父・祖母それぞれ2名と個別面接を行ない、「孫の誕生を経験し、祖父母となってからの自身の変化」についての語りより、祖父母自身の変化に影響されると考えられる因子についても検討した。その結果、孫の親の就労家族形態の違いや孫の世話に関わる頻度、孫の発達過程、祖父母の心身の健康状態が影響因子として浮上した。今後は、今年度の結果を踏まえてさらに面接調査を実施し、質問項目を選定し、「祖父母となることの発達」と祖父母の役割満足感との関連を検討していく予定である。
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