「赤ちゃん体操」が実施されているNICUをもつ1施設において、「赤ちゃん体操」の対象となった母子の退院後のフォローアップケアを実施した。実施においては、リハビリテーション科スタッフと連携を取り、母親の心身の状況や「赤ちゃん体操」を継続する上での悩みなどを聞きケアを行った。母親には、児の発達や母子相互作用、母親の心身の健康状態、低出生体重児として生まれたわが子への思いの変化などについて定期的にインタビューを行った。 前年度の本研究において、NICUに収容された子どもをもつ母親は罪悪感や後悔を感じており、育児においてもネガティブな思いを抱いていることが明らかになった。そこで、研究者は、オーストラリアの臨床心理学者が中心となり開発し、国際的に育児支援プログラムとして実施されているトリプルP(Positive Parenting Program)のプライマリケアインストラクター養成講習を受講し、親が育児に前向きに取り組めるような4回シリーズの育児支援セッション(プライマリケアトリプルP)を2組の母子に実施した。実施前と実施後にそれぞれアンケート調査とインタビューを実施し、育児支援セッションの効果を検討するデータ収集を行った。今後は、「赤ちゃん体操」を受けた母子へ育児支援セッションを実施する予定である。今回、実施した2組のうちの1組の子どもは低出生体重児であり、今後、収集したデータを比較・分析し、発表する予定である。このようにNICU収容児とその母親においては、乳児期のみではなく、幼児期に至るまで継続的にケアの提供について検討することが発達予後に問題を抱えやすいNICU収容児とその母親にとって意義があり、母親からのニーズの高いケアであると思われる。 また、母子相互作用の促進効果のあるインファントマッサージ教室の効果の検証についての論文は、2011年度発刊の学会誌に掲載されることが決定した。 さらに、NICU収容児の母親は妊娠中からハイリスク妊婦として集中治療を余儀なくされることが少なくない。そこで、母体・胎児集中治療室の看護ケアについても、産後の母子を見据えたケアの必要性が示唆されている。母体・胎児集中治療室の看護ケアとNICUでの看護ケアが継続され、母親が安心して小さな児とともに育児に臨めるよう母体・胎児集中治療室の看護ケアの課題を明らかにする研究に着手し、まずは看護スタッフのストレスについて取り組み学会発表を行った。その結果において、看護ケアの継続性に関する問題点が明らかになったのでNICUとその後の外来ケアとどのように連携を取っていくとよいのか検討する一助としていく予定である。
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