研究概要 |
本研究の目的は,(1)一般病棟に入院している患者や家族が抱くスピリチュアルペインの実態とその影響要因を明らかにすること,(2)患者家族が求める看護援助から,スピリチュアルペインに対する具体的な看護援助方法を検討し,提言することである。 平成19年度は,国内外のスピリチュアルケアに関する現状と一般病院における緩和ケアの現状を把握するために,文献検索や関連する学会や研修等に参加し,情報収集を行った。それらの情報を基に,スピリチュアルペインに関わる事項が表現されやすいようなインタビューガイドを作成し,面接調査の準備に取り掛かった。まだ,調査協力病院(看護部,担当医師)へめ交渉と依頼,調査協力者(看護師)の依頼,調査参加者(患者,家族)の依頼と選定の手続きを行った。現在,調査協力の了解と調査参加者の内諾が得られ,調査を開始した段階である。調査方法として,現在,調査参加者である患者にあたっては,数日間,看護ケアにかかわりながら,聞き取り調査を実施している。家族については,面会時に聞き取り調査を実施した。そのほか,医師や看護師からの情報,カルテや看護記録の情報も付加しデーター収集をしている状況である。現時点での面接の結果では,一般病棟に入院している終末期患者と家族ほ,がんの診断を受けるまでと,治療を選択,決定するまでの時間の長さへの苛立ちと焦燥感から見通しのない不安に苦しんでいることが分かった。また,家族にとっては,その間何もできないという無力感を抱き苦しんでいることが一部の調査で明らかになった。 今後は,さらに事例数を増やし,一般病棟の特徴を踏まえた患者家族の現状とスピリチュアルペインの様相を明らかにし,具体的なケアについて検討を行う。
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