外来で術後補助療法を受けている乳がん患者のニーズを把握し、そのニーズに基づいた個別的な看護支援方法を開発し、その実行可能性を評価することを研究目的とした。平成20年度より研究を開始し、適格基準をみたす乳がん女性を連続的にサンプリングした。精神的負担のスクリーニング尺度である「つらさと支障の寒暖計」以外の適格性を満たす156名に調査を実施した結果、スクリーニングが基準以下だった者は110名、スクリーニングを拒否した者が5名だった。全ての適格性を満たした乳がん女性は46名であり、そのうち34名から研究参加に同意を得た。 研究参加に同意の得られなかった7名の理由は、体調不良、家が遠いことなどにより研究に参加することが困難であることが主なものであった。同意が得られた乳がん患者34名に対し、本研究で開発した看護介入を実施し、現在までに27名が研究を終了した。同意取得後、3名の対象が体調不良、家庭の事情により脱落した。研究対象の平均年齢は55±10歳(平均±標準偏差)で、寒暖計の平均値はDistress thermometerが5.0±1.5、Impact thermometerが3.7±2.3であった。看護介入によって同定された問題は、再発に対する不安が最も多く、次いで副作用への対処、仕事への適応、家族関係等が挙げられた。目標症例数は30名であるため、次年度は引き続きデータを収集する予定であるが、本研究の実施可能性はほぼ確認できつつあるが有効性は不明であるため、対照群を設置しRandomized Clinical Trial (RCT)で評価する必要がある。
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