研究概要 |
郵送法による質問紙調査により,心臓移植レシピエント,およびその家族35組に対する実態調査を行った。調査期間は2007年7月〜9月で,心臓移植レシピエント16名(回収率45.7%),心臓移植レシピエント家族13名(回収率37.1%)から回答があった。 心臓移植レシピエントの属性は,男性12名(42.2±5.1歳),女性2名(23.3±2.4歳,無回答1名で,海外での移植者12名,日本での移植者4名であった。回答者の半数以上が心臓移植に伴う費用として3000万円以上を挙げており,中には7000万円以上の費用がかかっている者もいた。移植費用の工面に関しては、「家族の貯金」8名「患者本人の貯金」7名「募金」6名「借金」4名であった。海外渡航移植を受けた者12名の"渡航移植の準備で困ったこどは,「体力的に辛い」6名「手続きに時間がかかる」2名などで,"渡航先での待機中に苦労したこどは「言葉が通じない」8名「食事が合わない」4名などが多かった。海外渡航日から移植までの平均日数は37.6±39.9日(最短4日,最長120日)であった。 心臓移植レシピエント家族の属性は,男性2名(50歳代),女性11名(30〜60歳代),そのうち海外渡航者は11名で,レシピエントとの関係は,配偶者6名,母親5名,父親2名であった。レシピエントの心臓病発症により家族の収入は減少,支出は増大しており,国内での心臓移植待機中には,「家計が圧迫される」という困難を抱えている家族が多ぐいた。また,渡航移植に関する家族の苦労としては,渡航準備・手続きにおける困難さ,国際運転免許の取得,航空会社との折衝,渡航国での銀行の開設に対する苦労などが多く挙げられていた。募金活動をした家族は、事務局との折り合いや誹膀中傷に対する苦悩,記者会見のプレッシャーなどを挙げる一方で,メディア報道に対する感謝の意も示していた。
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