肝細胞がんは比較的多い癌といえ、癌の早期発見、治療の進歩により患者の予後は延びてきている。在院日数の短縮化などから、今後、在宅において療養生活を送る患者が増えてくると予測される。本研究では、研究の少ない肝細胞がん患者の治療を通し、身体的変化を捉えた患者の病状認識を明らかにした上で、疾病自己管理を目指すための患者支援プログラムを作成することとした、平成19年度は、肝細胞がん患者の疾病受容過程を明らかにすることを研究課題とした。これまでの研究を継続し肝細胞がん患者計20名の面接調査を行い、その内容をグランデッドセオリーアプロ千の手法を用いて分析を行った。その結果、肝細胞がん患者の疾病受容過程には、5つの時期「慢性肝疾患発症時」「がん発症時」「治療時」「治療変更時」「治療中断時」で構成されており、その中で疾病やがんに対する不安を自身で意味付けし治療に向かうために闘病意欲を奮い立たせるために、さまざまな情報収集を行ったり、対処方法を見出したりするなどの対処行動をとっていることが明らかになった。不安な気持ちと前向きに生きようとする思いが揺れ動く様子が明らかになった。平成19年度後期では、看護師18名に肝細胞がん患者の看護体験についての面接調査を行った。現在分析を行っているが、看護師のとらえた肝細胞がん患者の疾病受容過程も同様の結果であることが示唆された。今後、看護師のデータから、肝細胞がん患者の疾病に対する知識への課題を明らかにし、平成20年度は患者支援プログラムの作成を目指すことにしている。
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