本研究の目的は、子育て支援センターにおける看護職の機能と専門性の明確化、看護モデルの作成である。今年度は、実践として、近隣子育て支援センター主催で研究者・保健センター保健師が同席する双子・三つ子の会を開催した。また、全国1401カ所の子育て支援センターのうち了解の得られた83施設115名に、質問紙による実態や認識の調査協力を依頼し、回答の得られた29名(回収率25.2%)の分析を行った。結果は下記の通り。 (1) 免許取得率は、看護師100%、保健師34%、助産師17%。(2)支援センター平均勤務年数は5年3か月、看護職経験年数は平均12年。病院経験者のうち、小児科経験者は28%。(3)支援センターの活動は幅広いが、看護職は他職種より限定的な活動であった。(4)相談内容は多岐にわたるが、特に「子どもの病気・けが」「受診の判断」「体調不良時の対応」「応急処置法」「子どもに使う薬」「皮膚トラブル」「予防接種」は、他職種より相談が多かった。また、6割弱の看護職が「他の医療保健専門職に受けた指導に関する相談や不満の訴え」への対応経験があった。(5)支援センターに看護職が必要とする者は79.5%で、「親の不安」「医療的な相談のニーズの増加」が理由に挙がった。(6)9割以上の看護職が「健康相談」「ホームケアの助言」「健康教育」「受診の判断・相談」「発達相談」「保健・救急対応」「保健師との連携」「事故・感染予防」等は、看護職の専門性を活かせる支援と回答した。また、「親が障がいをもつ場合の支援」「双子・三つ子の支援」「NICU退院後の支援」「障がいをもつ児への支援」「流産・死産の支援」も、7割以上の看護職が専門性を活かせると回答した。(7)保育中心となりがちな場で看護の専門性を発揮しにくい等の協働の課題があった。次年度は、看護職者に対するインタビューにより、看護職の支援モデルを検討する。
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