本研究の目的は、終末期を生きる壮老年がん患者が、死と向き合う中で自分の生に意味を見出し、自らの"生と死をデザインする過程"を支援できるような、新しい看護ケアの方法論を創出することであった。マーガレット・ニューマンの「健康の理論」を理論的枠組みとし、理論と実践と研究を重ねた看護プラクシスのデザインを採用した。 まず、日々のケアにパートナーシップのケアを織り込んだ、一連の看護過程における患者と看護師の関わりをデータとし、患者の変化につながった「局面」とその普遍的な「看護の性質」を掬い上げ、本看護ケアの構造を明らかにした。その結果、終末期壮老年がん患者が自らの生死をデザインする過程を支援する看護ケアとして以下の4つの局面と看護の性質が浮かび上がった。すなわち、´患者と看護師のゆるぎない関係性の創出(局面1)'、´患者の自己像が転換され、今の自分を受け入れることへの支援(局面2)'、´繰り返し窮地に直面して揺れ動く患者に寄り添い、今を生きることへの揺るがぬ支援(局面3)'、´人生の意味を悟り、納得と満足に満ちたすべての調和への支援(局面4)'という螺旋状に拡張する看護の性質であった。 さらに、各局面を支持する看護のエッセンスを表現し、本看護ケアを導くガイドライン案を作成し、看護実践の場で活用しながら有用性の検証と修正を繰り返した。最後に、ニューマン理論の学識者との討議を行い、ガイドラインの活用には、理論的な観点からガイドラインの意味を紐解き支援する必要性が明確になった。 以上を踏まえて、本看護ケアを構成する4つの局面と、それらを支持する13の看護のエッセンスからなる、「終末期壮老年がん患者が自らの生死をデザインする過程を支援する看護ケア方法論」を創出した。
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