本研究の目的は、慢性疾患の子どもをもつ家族への継続支援のあり方を検討し、家族支援の質を保証するための評価指標を作成する基礎資料を得ることである。本年度(平成21年4月1日~平成22年3月31日)は、前年度に計画した調査内容をもとに、慢性疾患の子どもをもつ家族を対象とし、慢性疾患の子どもと家族の生活および家族の取り組み、家族が求める支援についてインタビュー調査を実施した。その結果、家族間で子どもの疾患について理解しあい協力できている家族は、現状のままでうまくいっていると感じ、家族内の協力に満足していた。家族の理解が得られない、とくに父親が子育てや子どもの疾患に無関心である場合は母親の負担が大きく、多様なサポートを必要としていた。また、子どもへの関わりでは、無理をさせずに安全に過ごせること、学校に休まず通えるように生活リズムを整えることを最優先させ、日常生活が維持できるように調整していた。周囲のサポートを積極的に得ようとする家族は多くの人から必要な情報を入手し、役立てることができていた。しかし、今後の治療の方向性や思春期をむかえる子どもへの対応について漠然とした不安を感じていた。看護師が慢性疾患の子どもをもつ家族の求めるニーズに対応していくためには、家族の背景と家族間の関係性を理解することが必要であり、家族に関するアセスメント能力を向上させる取り組みが必要となる。また、家族を支援するためには子どもの疾患だけでなく、子どもの生活環境を十分に把握し、周囲の人々との調整・連携が求められる。
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