本研究は、地域を基盤とした心臓リハビリテーションシステム(以下心リハ)における継続的支援を考案・実施し、その評価を行っていくことを目的とし、わが国において心リハに取り組む患者が長期的にそれを継続していくための新たな枠組みを検討するものである。今年度は、心リハ患者の運動の継続を促す継続的支援プログラム試案を考案することを目指し、第1段階として統合的レビューを行い、Medlineを中心とした国内外のデータベースから継続的支援に関わる有効な内容および要素を抽出した。その結果、対象者の動機づけを強化するアプローチ、医療者による長期的で専門的な指導、重要他者からの社会的支援などが抽出された。次に、第2段階として地域密着型の心リハを実践している施設の視察及びヒアリング調査を実施した。調査データについては、循環器看護に精通する看護師からなるワーキンググループと共に質的な分析を行った。継続的支援として、医療者は心リハという集団療法の中で〔集団の中での場作り〕を念頭に、同時に〔患者の個別性を重んじたケアの提供〕を心がけ、〔安全かつ患者が楽しむことのできる療法の実施〕を行っていく必要のあることがわかった。さらに、それらの援助を提供するためには、〔心リハチームにおける専門性の認識と活用〕〔各自の役割および責任の理解と分担〕〔患者情報の共有〕〔自己管理を目標とした患者教育〕などが重要であった。以上のことから、安全かつ効果的な心リハを展開するためには、患者の状態が十分に把握できるネットワークの形成、専門職間でスムーズな連携・協働をしていくための仕組みづくりが必要であると考えられた。また、集団療法の中でも個別性を重視した患者教育が重要であることが明らかとなった。今後は、継続的支援プログラム運用に向けて、対象施設と具体的な連携システムを構築し、来年度以降の臨床適用(介入研究)につなげていく予定である。
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