研究概要 |
1. 研究の目的 学童後期から思春期における子どもは、学校生活や友人関係を中心とした生活のなかで様々なサポートを得ながら健全な自己概念を形成する。さらに慢性疾患を抱える子どもは、それらに加え、療養行動を確立していく時期である。そこには適切なサポートが必要であり、そのサポートをえるためには, 疾患に関する内容をふまえ, 自己のことを話すという「自己開示」が関係していると考えた。これらの関係性を明らかにすることによって, 自己概念の形成と友人関係の形成, さらに慢性疾患患児においてはよりよい療養行動に関わる看護への示唆が得られると考え, 研究を行った。 2. 研究実績の概要 平成19年度に実施した健康児を対象とした調査結果の分析を行った。公立の小中学校に通う10歳から15歳のこども(小学4年生から中学3年生)合計3100名に配布し、2266名より回答を得た。自己開示尺度の合計値は、ソーシャルサポートおよび自尊感情と正の相関を認めた。 また、1型糖尿病患児を対象に調査研究を行った。中学生用自己開示尺度による一般的な内容の自己開示の程度、疾患に関する開示の有無および対象とそれに伴う体験、ソーシャルサポート、自尊感情および属性を無記名による自記式質問紙を用いて調査した。患者会を通じて72名の患児に配布し、29名より回答を得た。現在、分析を開始し、糖尿病児の自己開示と自尊感情およびソーシャルサポートの関係を明らかにするのと同時に、健康児と比較分析を行っている。
|