平成19年度は、文献検討と面接調査を行った。先行研究では、慢性疾患をもちながら生活する患児や家族において、特に思春期にストレスや不安が高まること、療養行動が乱れやすいことなどが報告されていた。これらを参考に慢性疾患をもちながら思春期を過ごす患児をもつ家族の体験を明らかにするために研究協力に承諾を得た6名の対象者に面接を行い、内容を分析した結果、以下のような共通事項が見出された。学校生活に関して、子どもが中学校に入学するときには病気に関連したいじめに遭遇しないか全員が心配していた。実際いじめに遭遇した場合には病気のことをクラスメイトに説明をして対処していた。高校では病気で欠席することによる単位取得への影響をもっとも心配していた。単位取得に影響が出ないよう患児・家族も治療計画に参与したケースでは学校生活や治療に対しても満足感が得られていた。これらのことから慢性疾患をもちながら思春期を過ごす患児をもつ家族に対して以下のような支援の必要性が示唆された。特に中学・高校入学などの新たな環境に患児がスムーズに適応するためには患児の病気に対する学校やクラスメイトの理解を得ることが重要であり、患児または家族が学校やクラスメイトに対して理解を求めることができるよう支援する必要がある。そして、学校生活や治療に対する満足感を高めるために患児または家族へ病気や治療に関する知識を提供し、ともに治療計画に参与できるよう支援する必要がある。一方、将来に関して、学校とは異なる社会生活では病気のことを理解してもらえるかという不安や、結婚や出産に対する不安を抱いていた。また、病状が悪化しても幼い頃のように手を貸すことはできないと葛藤している家族の心理なども見出された。 以上のような慢性疾患をもちながら思春期を過ごす患児をもつ家族の心理を踏まえた看護介入方法や時期について検討していくことが今後の課題である。
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