慢性疾患であるアトピー性皮膚炎の治療法には、「原囚・悪化因子」、「スキンケア」、「薬物療法」がある。実際、スキンケアを含む治療内容のほとんどが、個々の家庭で行われ、生活様式と密接に関係している。平成18年12月から平成20年2月まで、アトピー性皮膚炎乳幼児を持つ母親のスキシケア能力を高める母親支援プログラムを開発し、研究協力施設において、介入群の13名、対照群の10名に実施した、その結果、スキンケア能力においては、介入群の母親は対照群より有意に高くなった(p<0.05)。AD乳幼児のスキンケアに伴うストレス度においても、介入群の母親は対照群より有意に低下した(p<0.05)。介入群の母親は継続的かつ正確なスキンケアを実施した結果、介入群のAD乳幼児の皮膚角質層水分量、皮膚バリア機能においては、対照群より有意な改善がみられた(p<0.05)。本プログラムめ実用性を検討した結果、AD乳幼児の定期受診の際に、待ち時間を活用しプログラムを実施したことは、診療の流れに影響がなかった。作成したスキンケアパンフレットの内容じゃ適切であり、スキンケア日記の記録率が高かった。これまでの経験によるスキンケア指導と異なって、AD乳幼児の皮膚の生理学的データを用いて、母親のスキンケア能力を定量化により評価したことで、看講師は焦点を絞って看講師が根拠に基づいた指導ができ、母親のスキンケア能力の向上につながった。本研究成果をまえて、現在、プログラムをさらに検討しつつ、普及していくよう、他医療機関でプログラムを実施している。
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