研究概要 |
本研究の目的は、オストメイトに対する患者教育の一貫として、オストメイトと看護師による教材開発の過程を通しながら、参加型学習による患者教育の方法論を確立することである。これまでの研究では、看護師からの一方向的な指導ではなく、オストメイトと看護師による双方の相互主体的な学習が必要であることがわかってきた(セルフマネジメント:28-32,2006)。その学習の一貫として、オストメイトと看護師が、共に教材開発する過程を踏まえながら参加型学習による患者教育を実践してきた(日本看護学会看護管理:302-304,2006)。また、オストメイトに対する患者教育のシステム化を図るために、福岡県立大学にて健康教室を開催し患者教育を実施した。さらに、患者教育の歴史的変遷を海外発表したことで、諸外国の看護師達の患者教育に対する関心を高めることができた(International Council of Nurses(ICN)24^th Quadrennial Congress, Durban, South Africa, 2009)。これらの研究成果から、看護師と共に作る教材開発は、オストメイトの自己管理能力を高める一助に繋がると同時に、「看護学生と一緒に教材を作りたい」という新たなニーズも高まってきた。特に、自己管理が困難な高齢者のオストメイトほど、看護学生と共に教材開発に取り組みたいというニーズが高く、このことは高齢者のオストメイトのアイデンティティ保持に大きく結びつくのではないかと予測している。今後は、オストメイトの自己管理能力を基盤にした患者モデルとして、具体的な実践方法と教育効果を明らかにするために、オストメイトと看護師及び看護学生による教材開発を行い、教育効果について検証する。また、高齢者のオストメイトのアイデンティティ保持に繋がる患者教育の方法論を確立することも視野に入れながら研究する予定である。
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