糖尿病を持っ女性が妊娠・出産を希望する場合、妊娠前の厳重な血糖コントロールやそのためのセルフケアが必要とされるが、同時に妊娠が可能であるかとの不安や懸念;「妊娠に対する困難性」を持ち合わせていると推測する。非妊時から性や妊娠に関することを主治医である糖尿病専門医に相談できず、また、専門家である産婦人科医や助産師にも相談する場や機会もなく、妊娠・出産を望む糖尿病を持つ女性への自己決定を支える支援体制は確立しておらず、医療者や糖尿病を持つ女性自身が「医療の必要性、緊急性の高さ」ゆえに、妊娠・出産を自ら諦めたり、また放棄する恐れがあると考えられる。 本研究の目的は、糖尿病を持ちながら妊娠・出産を希望する女性がその自己決定に至る過程での困難性に関する要因を明らかにすることで、糖尿病を持つ女性へのケアプログラムの考案を目指すものである。19年度は、糖尿病を持ちながらの妊娠・出産の経験のある女性10名を対象に「妊娠・出産における自己決定」に関するインタビュー調査を行った。 結果、糖尿病を持つ女性の妊娠・出産の自己決定に影響を与える要因として、糖尿病に対する本人の受け止め方、糖尿病を発症してからの家族のかかわり方、糖尿病診療に携わる医療者従事者の関わり方があることが分かった。また、糖尿病は、妊娠前からの血糖コントロールの重要としているが、計画妊娠であるものは1名のみであり、計画妊娠が自らできる支援のあり方が必要であることが示唆された。
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