糖尿病を持つ女性が妊娠・出産を希望する場合、妊娠前の厳重な血糖コントロールやそのためのセルフケアが必要とされるが、同時に妊娠が可能であるかとの不安や懸念 ; 「妊娠に対する困難性」を持ち合わせていると推測する。非妊時から性や妊娠に関することを主治医である糖尿病専門医に相談できず、また、専門家である産婦人科医や助産師にも相談する場や機会もなく、妊娠・出産を望む糖尿病を持つ女性への自己決定を支える支援体制は確立しておらず、医療者や糖尿病を持つ女性自身が「医療の必要性、緊急性の高さ」ゆえに、妊娠・出産を自ら諦めたり、また放棄する恐れがあると考えられる。 本研究の目的は、糖尿病を持ちながら妊娠・出産を希望する女性がその自己決定に至る過程での困難性に関する要因を明らかにすることで、糖尿病を持つ女性へのケアプログラムの考案を目指すものである。20年度は、糖尿病患者の診療経験及び看護経験のある医師及び看護師10名を対象に「妊娠・出産における自己決定」に関するインタビュー調査を行った。 結果、糖尿病患者の診療経験及び看護経験のある医師及び看護師は、糖尿病女性の診療及び看護をする際に、非妊時より妊娠や出産について関わる機会が少なく、非妊時からの関わりについて必要性を感じながらも、自ら満足のいく関わりができていないこと明らかとなった。
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