本研究の目的は、糖尿病を持ちながら妊娠・出産を希望する女性がその自己決定に至る過程での困難性に関する要因を明らかにすることで、糖尿病を持つ女性へのケアプログラムの考案を目指すものである。19年度は糖尿病女性10名、20年度は糖尿病患者の診療経験及び看護経験のある医師及び看護師10名を対象に「妊娠・出産における自己決定」に関するインタビュー調査を行い、糖尿病女性の妊娠・出産までの体験の実態及び医療者の糖尿病女性への妊娠・出産に関しての支援の実態が明らかとなった。 平成22年度は、糖尿病女性が医療者に臨む支援及び医療者側の実際の支援の現状を踏まえて、糖尿病女性の妊娠・出産の支援のあり方の問題点を明らかにして、今後の支援の方向性の考案をした。 結果、糖尿病女性は妊娠・出産に関して医療者の支援を必要としていた。医療者の的確な支援と親身な姿勢により糖尿病女性は安心して、妊娠出産に臨んでいた。一方、糖尿病女性は、医療者の妊娠周辺期の糖尿病治療及びケアの知識、経験不足に関して不信感を持ち続けながら妊娠・出産に臨んでいるケースもあった。医療者においても糖尿病患者全体の中で締める妊娠周辺期の女性の割合は低く、妊娠周辺期への関わりへの意識は高くはなかった。 これらのことより糖尿病女性の妊娠・出産の自己決定に関わる問題を解決するためには、糖尿病女性側だけでなく、医療者の関わりも考えいくことが明らかになり、支援の方向性の考案に役立つ結果が得られた。
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