平成22年度は、前年度に実施した慢性疾患を持つ患者の行動変容を促進するための行動についてのインタビュー結果の解析を実施した。分析の基盤となる理論としてTranstheoretical Model : TTM(行動変容ステージモデル)を用いた。 糖尿病を有し、外来通院を行っている患者のうち、血糖や体重コントロールが良好な患者6名に対して半構成インタビューを実施した。TTMの「無関心期」または「関心期」には食事療法を開始する前の食生活には<心理的なストレス>が強く影響しており、食事内容の改善が必要だと指摘されていても、疾患とは直接的に関連しない仕事や家族の問題などが影響し、ストレスの解消のために食べるという行動が生じていたことが述べられていた。 「準備期」「行動期」には、疾患の悪化にともない多くの弊害が生じる可能性を自覚し、元々有していた<心理的ストレス>はその問題と比較してとるにたらないものとの認識が生じ、行動に移すきっかけになっていることが述べられていた。 「維持期」では、食事療法による体重減少などの効果を自覚、他者からのポジティブフィードバックがよい食生活を持続する原動力となっていることが語られていた。しかしながら、急激な体重減少に関連してか、抑うつ的な状況に陥った経験を語った対象者も複数存在した。 医療従事者に望む対応としては適切な情報提供とともに、ポジティブフィードバック、笑顔での対応などが述べられていた。
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