研究概要 |
産業看護職による職場におけるメンタルヘルス支援システム構築の手法を提示することを目的とし, 1年目は, 職場におけるメンタルヘルス支援システムを構築した実績のある産業看護職への面接調査を実施した. 2年目である本年度は, 1年目の調査結果を質的帰納的に分析し, 産業看護職が日々の活動の中から労働者のニーズを捉え, どのようにメンタルヘルス支援システムを構築してきたかというその具体的な手法を抽出した. さらに, 全国の実績を持つ産業看護職に対して, 抽出した『職場におけるメンタルヘルス支援システム構築の手法』の原案を示し, デルファイ法による意見調査を実施し, その内容を収斂させた. 結果は, 以下の通りである. 面接調査の対象は, 14名の産業看護職による15事例であった. 構築されたメンタルヘルス支援システムは, ラインケアに関する教育研修6事例, セルフケアに関する教育研修1事例, 研修教育体制の整備2事例, 相談体制の整備3事例, 復職支援体制の整備2事例, 職場環境改善の取り組み1事例であった. 産業看護職の活動内容から, 140サブカテゴリー, 34カテゴリーが抽出された. これらをシステム構築の過程に沿って検討した結果, 産業看護職は7段階の過程をたどり, システムを構築していた. 産業看護職による職場のメンタルヘルス支援システムの構築過程は, 【過程I日々の活動から労働者や事業者との信頼関係を築く】, 【過程II 日々の活動から職場のメンタルヘルス問題を捉え, 分析する】, 【過程III メンタルヘルス支援システム構築の構想を練る】, 【過程IV 合意形成のための戦略を練る】, 【過程V 産業看護職の判断でできることに取り組む】, 【過程VI関係者とともにメンタルヘルス支援システム構築に向けて行動する】, 【過程VII 随時評価をしながら改善点を検討する】というものであった. 本結果について, 研究参加に同意の得られた産業看護職を対象にデルファイ法により, 内容的妥当性について意見調査を行った.
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