平成20年度は平成19年度に精選したネットワーク尺度の項目(組織活動の行動評価項目)が、活動回数、活動満足度、負担感、やる気、等とどのように関連するかを明らかにするため、調査を実施した。 健康に関する知識や情報を家族・近隣・地域住民に伝達することを目的の一つとする、2つの健康推進員組織である、A組織とB組織を選定した。調査表作成にあたり12名を対象に事前にヒアリングを実施した。それを基に調査票を作成、プレテストを健康推進員(以下、推進員とする)を対象に15名に実施し、偏りがある項目や、回答しにくい項目などに修正を加えた。平成21年度12月に調査票を822名に配布し590人から回答を得た(回収率71.8%)。2つの組織を比較したところ、属性や意識等の結果に違いが見られたため、分析は組織ごとに行った。ここではA組織について述べる。基本属性は、9割が女性で、年齢は4割以上が60歳以上、半数以上が無職(主婦も含む)であった。活動の行動評価の項目では「新しく得た知識や情報が、自分にも活用できるか考えるようにしている」(91.2%)が最も高く光「自分が伝えた知識や情報が活用されているか、伝えた相手にその後の様子を尋ねてみている」(25.8%)が最も低かった。自分自身の知識の普及や、日常接する人(家族・友人・近隣等)への知識の伝達については、行動している人の割合が高かった。一方、多くの地域住民へ伝える行動や、得た知識の吟味については、行動できている者の割合が低かった。 A組織は健康に関する知識の伝達が活動目的の一つである。その実態として、自身が日常接する人には行うが、日常接することのない人までに健康情報を伝達することは難しいことが分かった。それにより、推進員個々の元々持つネットワークの多さが、知識や情報を伝達する行動に影響することが推測された。
|