研究概要 |
介護老人保健施設の看護職員の, 不穏及びせん妄状態の捉え方とその対応方法を明らかにすることを目的として, 介護老人保健施設の看護職員11名を対象に, インタビュー調査を実施した. 449総コードを分析に用いた結果, 38サブカテゴリー, 18カテゴリーが抽出された. 不穏及びせん妄状態を示す9カテゴリーは, 【うちに帰りたくなる】, 【落ち着きがなくなる】, 【常時, 見当識が失われてくる】, 【人格や表情が急激に変化する】, 【感情の起伏が激しくなる】, 【幻覚・妄想が頻繁に出現する】, 【目的が理解できないような行動が出現する】, 【不随意運動が出現する】, 【睡眠・覚醒のリズムが乱れる】であった. 不穏及びせん妄状態の高齢者への対応方法の9カテゴリーは, 【安全と安心が得られるように見守る】, 【誠意を持って, 笑顔で接する】, 【充実した過ごし方を提供する】, 【多様な角度から観察し, 対応方法を判断する】, 【落ち着くように, 付き添って行動し, 話をじっくり聞く】, 【表出された不安が軽減されるようにする】, 【他のことを提案し, 気になっていることから, 気持ちをそらす】, 【睡眠遮断・不動化・過刺激・環境変化を避ける】, 【必要時に薬剤を投与し, 薬効をモニタリングする】であった. これらの結果から, 不穏及びせん妄の構造, 不穏及びせん妄の高齢者への対応方法の構造, 不穏及びせん妄状態に即した対応方法が導き出された. 今後は, これらの対応方法の効果の検証と, 介護保険施設で適応可能なせん妄予防ケアプログラムの作成を行なう予定である。
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