研究方法 3病院の外来・病棟に勤務する看護師1206名を対象に、基本属性、喫煙行動、禁煙支援に関する学習経験、害や支援法に関する知識、禁煙支援に対する態度、禁煙支援への主観的規範、禁煙支援への自己効力感・意思・実践に関する無記名自記式質問紙を配布・回収した。調査に関しては大阪大学医学部医学倫理委員会の承認を得て行った。 結果 回収率は回答の欠損が認められた13名を除いた830名(65.7%)ですべてを分析対象とした。女性97.1%、年齢32.5歳、最終学歴は4年制大学が最も高く、看護師経験年数は9.9年であった。現在喫煙者は9.4%で1日喫煙本数9.8本、開始年齢20.2歳、禁煙への関心度では関心期が70%であった。学習経験が全くないものが37.1%おり、ニコチン代替療法では半数、禁煙ステージ、カウンセリング法では8割以上が全くうけたことがなかった。禁煙支援を全く行っていない看護師が9.1%もおり、パンフレットの提供、禁煙日の設定、禁煙外来の情報提供、ニコチン代替療法の説明に関しては6割以上が全く行っていなかった。また実践には病院差が見られた。 禁煙支援の病院差に対して禁煙支援への意思などの個人要因と病院の建物内禁煙などの環境要因による影響力を検討するためにマルチレベル分析を行った結果、病院差には環境要因よりも個人要因による影響力が強かった。 禁煙支援に関連する要因を検討するために共分散構造分析を行った結果、禁煙支援への自己効力感がどの変数よりも正の直接的な影響力が大きく、看護師経験年数が長く、禁煙支援の学習経験や知識があると効力感が高まることが示された。 考察 病院看護師による禁煙支援は実施されているものの全く行っていない看護師もおり、禁煙支援に有効性が示されているニコチン代替療法、カウンセリング法は行われておらず、非効果的な禁煙支援を実践していることが把握された。禁煙支援への自己効力感を高めるような看護師向けの教育が必要である。
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