医療制度改革に伴い、市町村によっては保健指導の一部、または全部のアウトソーシングが行われている。そこで、市町村保健師(特別区を含む)を対象に、保健指導のアウトソーシングによる他機関との連携・協働に焦点をあてた役割・機能について検討を積み重ねている。 当初、20年度に、人口がおおむね20万人以上の自治体保健師に対して、質問紙によるアンケート調査を実施する予定であった。しかし、厚生労働省等の調査によると、初年度における特定健診・保健指導は運用の遅れがみられ、保健指導については、年度末から開始する傾向があるとの報告がなされた。したがって、自治体への調査において正確な状況把握を行うためには、21年度の実施を終えてからが望ましいと考えられた。 そこで、研究者が所属する近隣自治体の保健師から、アウトソーシングの現状や連携・協働体制について聞き取り調査を行い、国保部門と衛生部門といった自治体内での連携状況や、保険者、民間の事業者、地域の医療機関等、自治体と他機関における連携状況を把握した。また、地域看護学分野の研究者とともに質問紙の内容について検討を重ねてきた。文献や聞き取り調査、カンファレンスなどで検討した質問紙を実際に使用し調査を実施する段階になっており、今後は、分析や課題を抽出して、アウトソーシングによる市町村保健師としての役割・機能について明らかにしていく。
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