研究概要 |
本研究は,「調査1」地域住民(長崎市,五島市)および看護職(長崎市,県内島嶼部)の遺伝カウンセリング理解の実態,「調査2」遺伝カウンセリング受診の質的調査,「調査結果の分析」調査1,2の結果分析,「分析からの検討」遺伝カウンセリング体制についての検討,の4部構成である. 平成22年度は看護職者(長崎市744人(回収率54.5%),県内島嶼部132人(回収率54.1%))の遺伝カウンセリング理解の実態調査の分析を行った,遺伝カウンセリングについて「理解している」と答えた人は4.6%であった.遺伝について学びたいかについては48.7%の人が「そう思う」と答え,現在その機会があるかは95.7%が「ない」と答えた.遺伝相談窓口の必要性について「必要」と答えた人は長崎市で65.5%,島嶼部で75.9%であり,島嶼部の看護職が有意に必要と感じていた.遺伝病の人に関わった経験について「ある」と答えた人は長崎市で56.30%,島嶼部で67.4%であり,島嶼部の看護職に有意に経験が多かった.遺伝相談を受けた経験について「ある」と答えた人は長崎市で8.5%,島嶼部で26.3%であり,島嶼部の看護職に有意に経験が多かった,島嶼部の看護職に遺伝相談に関わった経験を持つ人が多く,窓口のニーズも高いのは,相談施設や専門医が長崎市に比べると少なく,地域住民の相談先が身近な看護職者であることが考えられる.よって,島嶼部の看護職者の遺伝医療に対する役割は大きいと考えられる.
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