本研究では、地域における母親の母乳育児継続のための支援を検討するために、今年度は平成19年度実施済み調査の結果を踏まえ、7か月児の母親を対象にし、母親の母乳育児の継続に影響を与える要因について縦断的に明らかにすることを目的とした。平成20年5月〜8月、調査用紙送付に同意を得られた産後7-8か月時の母親233名を対象とし、郵送法による無記名自己記入式質問紙を用いた縦断的調査を実施し、以下の結果が明らかになった。 1)7か月時に母乳育児の継続に影響を与える要因について 「母乳を与えられたことは育児をする自信になった」、「自分の気持ちに反して周囲の人からミルクを勧められた経験がある」「母乳が分泌するようにもう少し努力しておけばよかったと思う」については母乳・混合・ミルク群に有意な差がみられた。 2)母乳育児を継続できる個人の要因について 児の栄養状況別に、母乳、混合、ミルクの3群についての検討を行った。7-8か月時では育児不安得点、SF36活力の得点ともに、栄養方法による有意差はみられなかった。 SF36の活力は身体的健康度と精神的健康度に関わる尺度であり、母親の心身の健康状態を表す指標と考えられる。対象者は30代の日本人女性の平均得点以上で活力に満ちた状態で、育児に取り組んでいたと考えられる。育児不安に関しては、0-2か月時のミルク群で育児のゆとり得点が最も低い結果であった。母乳がでない状況でミルクになった母親はミルクになったことを自分の責任と感じ母親としての自信が揺らぐといわれている。本調査では有意な差はみられなかったが、今後の課題として出産後早期にミルクにせざるを得なかった母親に育児不安のリスクについてより詳細な検討していく必要があると考える。
|