本研究は、子どもの睡眠習慣確立へ向けて、乳児期からの生体リズムを考慮した母親への健康支援の効果および課題を検討することを目的とした。方法 : 乳児または親自身の睡眠で気になることがある母親で同意の得られた6名(29.7±2.3歳)に対して、初回に睡眠に関する習慣を振り返っていただき自身の目標を設定し、個別面接の度に達成状況を確認した。育児支援前、直後、6ヵ月後、1年後までの睡眠状態、心身の健康、アクチウォッチによる活動量の変化について追跡調査を行った。また、昨年度得られた乳児の睡眠に関する実態調査の結果から、行動変容を意図とした教育内容を検討し乳児健診の待ち時間を利用して集団へ実施した。これらの支援を行い、以下の結果を得た。 (1)3〜7ヵ月の乳児6名の睡眠は、発達に伴い日中の睡眠回数の減少や日中睡眠時間の減少が認められ、夜間の中途覚醒回数も減少傾向であった。調査期間中、母親が自覚する児の睡眠問題は、寝つきが悪い、中途覚醒、夜泣き等であり、時期によって改善、出現がみられた。起床時刻は不規則にならずに経過した。 (2)母親の睡眠状況を事例毎に分析したところ、「起床時刻」「睡眠効率」の改善がそれぞれ2事例、「就寝時刻」「離床潜時」「中途覚醒時間」の改善がそれぞれ1事例であった。「中途覚醒時間」「睡眠効率」で悪化した事例では、妊娠初期によるもの影響や児の夜泣きによるものであった。 (3)母親が設定した習慣に関する目標は継続できていた。 (4)集団への健康教育を試みたところ、生活習慣を整える必要性について気づきを高め行動変容のきっかけになっていた。 今後、支援の有効性および課題について分析を深めていく予定である。
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