研究概要 |
本研究の目的は,在宅で介護をしている高齢男性介護者が困難に感じている家事や介護の内容を明らかにし,男性介護者が,無理なく在宅介護を続けていくための支援のあり方について考察することである。平成19年度は,文献検討ならびに男性介護者に関わる専門職へのヒアリングを実施した。在宅で男性が介護をしているケースを担当している介護支援専門員を対象に,男性介護者が困難を感じている家事や介護の内容,今後必要だと考えるサービス内容,ケアマネジメントを行う際に留意している点等について尋ねた。ヒアリングの結果,介護支援専門員が担当しているケースの中には,食事の支度ができない,部屋を片付けられないなどの家事の問題や,おむつ交換ができないなどの介護の問題を抱える男性介護者がおり,さらに家事や介護に困難を感じているだけではなく,被介護者が食事を十分にとれず,適切な介護もなされていないような状況にあるケースも少なくないことが示唆された。介護支援専門員は,家事の遂行が困難な男性介護者の生活を支え,介護が円滑にすすむようにサービスを活用する一方,サービスを受け入れず,介護を一人で抱え込んでいるような男性介護者に配慮した支援を行っていた。介護支援専門員は,男性が介護をしているケースのケアマネジメントにおいては,女性が介護者である場合とは異なる問題が生じる可能性があることをふまえてアセスメントを行い,効果的なサービスの提供方法を模索していることが推察された。今後,男性介護者に必要とされる具体的な支援策について,さらに検討する必要があると考える。
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