本研究の目的は、在宅で介護をしている高齢男性介護者が困難に感じている家事や介護の内容を明らかにし、男性介護者が、無理なく在宅介護を続けていくための支援のあり方について考察することである。平成20年度は、男性介護者が家事や介護に困難を感じている内容、それに対してどのような支援が必要とされるのかを明らかにすることを目的に、介護支援専門員を対象に調査を行った。分析対象者152名のうち91%は、主介護者が男性であるケースを担当していた。介護者が夫であるケースが抱える問題として「夫自身も体調が悪い」、「介護を代わる人がいない」、「家事・介護がうまくできない」が多かった。また、息子が介護者のケースでは、「家事・介護がうまくできない」、「介護を代わる人がいない」、「近所づきあいがない」が多かった。困難な家事・介護の内容としては、「食事の支度」、「排泄介助」、「入浴介助」が上位を占めていた。介護支援専門員の男性介護者への配慮として、夫に対しては「介護をねぎらう」が多く、息子では「仕事の都合に合わせて連絡を取る」が多かった。介護支援専門員が男性介護者への対応に困難を感じる点として「サービス利用やアドバイスを拒否する」、「連絡が取りにくい」などが挙げられたが、それらに対して「何度も訪問し根気よく説明する」、「夜間・休日に訪問する」等の対応をしていた。調査結果から、分析対象者の9割は男性介護者を担当しており、男性介護者の多くは何らかの問題を抱えていること、介護の問題は介護者の続柄によって差が見られることが示された。また、介護支援専門員は、男性介護者の介護の困難さに配慮している一方で、対応に苦慮していることが示唆された。介護支援専門員の視点から明らかとなった問題に着目し、男性介護者の特性をふまえた支援を行うことが重要であると考えられる。
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