研究概要 |
19年度は,治療,療養生活中の高齢者の睡眠に関する文献検討,および本研究は,高齢入院患者のせん妄発症を低下させる看護ケアの開発を最終的なねらいとしているため,高齢者のせん妄予防のための介入研究に関する文献レビューを並行して行った。 1.本邦における入院・入所高齢者の睡眠の実態調査に関する研究 2000年以降の国内文献8文献では,体動測定などの定量的な方法で睡眠を観察する方法を採用しているものが5文献であった。視察法による睡眠評価は,定量的方法と誤差を生じている場合がある。患者本人の熟眠感は個人差が大きいため,睡眠が変数となる研究では,定量低方法の導入は不可欠と考えられた。 2.高齢者のせん妄予防のための介入研究に関する文献レビュー 1993年からの国内外のせん妄予防のための介入研究16文献をレビューした。このうち14文献は,せん妄発症関連因子1因子を操作するのではなく,学際的,またはスペシャリストで構成された介入チームによる方法が採用されている。介入効果は,成果を示しているものもあれば,そうではないものもあり,まだ,効果的介入方法の確立には至っていない現状である。介入方法については,せん妄発症の関係要因が身体・心理・環境的側面に同時に存在するためと考えられる。しかし,せん妄発症関連因子を探索した研究では,対象とする高齢患者特性の疾患の統一性も少なく,病態生理や治療プロセスの一致した対象者群での因子探索が必要であると考えられる。それは,介入対象者を焦点化し,介入方法の根拠となるものである。 3.次年度の研究 これらにより,今後は,睡眠障害を以外のせん妄発症要因についても同時に調査する必要性が示唆され,20年度の小目標は,急性期高齢脳梗塞患者の睡眠の質量を含むせん妄発症を促進する因子および抑制する因子を明らかにすることとする。
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