研究目的:ウェブサイトを用いた生活習慣改善のための保健指導を行い、その効果を検証した。 研究方法:研究対象はA社の33-57歳の男性社員17名とした。介入効果を比較するため、介入群に6名、対照群Aに6名、対照群Bに5名を無作為に割り付けた。保健指導の開始時に、A社の保健師が全対象者に個別面接指導を行った。その後、介入群にはウェブ上で生活習慣に関する情報、自己観察日記、掲示板を提供し、日記の内容に対して開始から12週間で計4回、ウェブ上で個別メッセージを送付した。対照群Aには介入群と同様のウェブ上の内容を提供し、個別メッセージは送付しなかった。対照群Bにはウェブ上の情報のみ提供した。保健指導期間は24週間で、12週目、24週目に検査と生活習慣に関するアンケートを受けてもらった。評価指標は、検査値、生活習慣、ウェブの利用状況とした。分析方法は、各群で開始時・12週目・24週目の検査値、生活習慣の変化をfriedman検定により分析した。また、ウェブへのログイン回数を3群間で、日記記入日数を介入群と対照群Aの2群間で、Mann-Whitney検定により比較した。 結果:開始から24週目にかけて、介入群はBMI、LDLコレステロール、ALTが有意に改善、対照群BはLDLコレステロールが有意に改善していた一方、対照群Aは有意に改善した検査値はなかった。Web日記への記入頻度は、介入群と対照群Aで統計学的な有意差はなかった。 考察:介入群は3つの検査値が有意に改善したが、介入群と同様のウェブの内容を提供した対照群Aでは検査値の有意な改善はみられなかったことから、個別メッセージには成果があったと考えられる。保健指導にウェブサイトを効果的に用いていくためには、健康を自己管理できる環境の提供とともに健康状態が改善するよう専門家が適切なアドバイスをすることが必要であると考えられた。
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