「介護予防の対象」と位置づけられている閉じこもり高齢者に、新たに「災害弱者」としての視点を加え、閉じこもり高齢者と地域のつながりの実態把握から災害対策を見据えた社会的支援のあり方について検討することを目的に、平成20年度は下記の検討を行った。 1. 第二調査(閉じこもり高齢者の災害意識と社会的支援の実態)の実施 愛知県郊外に在住している虚弱高齢者45名(平均年齢82.7±6.1歳)を対象に訪問調査を行い、虚弱高齢者の災害意識と社会的支援の実態把握を行った。その結果、大地震による被害を心配している者は22名(48.9%)、台風・集中豪雨を心配している者は20名(44.4%)であった。また、日頃の災害対策をしている者は16名(35.6%)であり、ハザードマップを知っている者は4名(8.9%)、避難準備情報を知っている者は0名(0.0%)であった。そめ他、災害避難時にサポートしてくれる人がいると答えた者は全体の4割程度であり、支援者はすべて同居家族であることが明らかになった。 2. 災害対策を見据えた社会的支援の在り方に関する検討 前年度および今年度の調査結果より、虚弱高齢者の社会的支援のあり方について検討した。その結果、虚弱高齢者の多くは日常と緊急時で機能している社会的支援が異なっていることが示唆された。特に、生活空間が縮小しつつあり、虚弱高齢者の日頃の外出目的や情緒的交流として機能している近隣は、緊急時には共助としての役割が機能していないことが推察された。以上より、虚弱高齢者の災害対策を見据えた社会的支援には、虚弱高齢者の身体的老化を考慮しながら、高齢者がこれまで築いている住まいを中心とした親密な近隣関係を前提に、日頃の生活の中でいつでも必要な支援が受けられる仕組みを作っていくことが有効と考える。
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