平成21年度は、心理教育的手法を用いた精神科看護師教育プログラムを開発するための、パイロットスタディとして、対照群を置かない介入研究を行った。 研究は、精神科看護師に対して認知行動療法や心理教育的手法を取り入れた構造化されたストレスマネジメント・エンパワメントプログラムを行うことで、気分や精神的健康度などの心理的負担が軽減するかを実証的に示すことを目的とし、精神科看護師15名を対象に介入を行った。介入は6週間の間に2週間おきに計3回(1回は2時間)のプログラムを行った。その結果、精神的健康度を評価するK6については、介入前後を比較したところ有意に改善しており(P=0.014)、1ヶ月後の得点についても、介入前に比較して十分な改善傾向があった(P=0.05)。看護師の患者に対する感情態度を評価するNASについては、下位尺度の「敵意」において、介入前後を比較したところ有意に改善しており(P=0.036)、それは1ヶ月後の得点についても、介入前に比較して有意な改善が継続していた(P=0.041)。 これらのことから、精神科看護師が今回のプログラムに参加することで、看護師自身の気分や精神的健康が改善されるだけでなく、患者ケアへも良い影響があることが示唆された。 この研究成果は、II. European Psychiatric Nursing Congress (2010.4.16)にて発表し、精神保健看護学会誌に投稿中である。
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