研究概要 |
今年度は,住民のネットワークが充実しており地域住民が虐待事例や精神障害者,生活上困難な状況にあり支援が必要な人々を発見し,専門職に繋げられている地域の取り組みや住民ネットワーク構築の地域の状態像を明らかにすることを目的に研究をすすめた。国内外の文献を検討した結果,「サービスがおよびにくい人」の定義が不明確であり,日本や諸外国における本定義を明確にしていくことが必要であることから,活動の先進地であるカナダにて視察調査を行った。カナダを選定した理由は,地域看護職(保健師)の活動基準に『アクセスと公平を促進する』ための活動基準が明記されており,先駆的な取り組みがなされていると考えたからである。その結果,カナダにおける「サービスがおよびにくい人」とは,先住民や移民等が中心であること,マイナリティである彼らに対する専門職の支援や保健対策が充実している実態が明らかになった。これは,基礎看護教育の中に,活動基準に基づく教育が根付いていることの背景が考えられた。しかしながら,住民や地域のネットワークに関しては,有意な情報が得られず,専門職中心の支援であった。これらの結果に基づき,次年度は,日本における「サービスがおよびにくい人」の定義の明確化,専門職(特に保健師)によるアクセスを高める支援の明確化,住民のネットワーク等について調査を進める予定である。
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