【目的】研究対象である子育て世代(20歳代から40歳代)の女性、特に子育て中の女性の生活習慣や健康意識、健康に関する知識について既存の尺度を用いて調査し、対象の持つ力を引き出す支援プログラムを示唆することを目的とする。 【方法】A市の乳幼児健康診査対象児の母406名を対象とし、無記名自記式質問紙法を実施し、生活習慣と既存の尺度を用いて関連を統計的に分析した。 【結果】年齢と生活習慣、保健行動の優先性、保健規範意識、予防的保健行動とは相関はなかった。仕事や家族構成は、生きがいや健康観、健康診断と相関があった。生きがいと喫煙・睡眠時間、学歴と喫煙・生きがい、喫煙と学歴・健康診断・ストレス・生きがい・運動が好きか・朝食・栄養バランスの意識の間に相関があった。生活習慣と保健行動の優先性との相関はなかったが、BMIとの間に相関があった。予防的保健行動では、睡眠・喫煙・支援者の有無・生きがい・学歴と相関があった。保健規範意識では、肥満度と相関があった。 【結論】子育て中の女性の生活習慣や保健行動は、学歴、生きがい、支援者の有無、喫煙、ストレス、睡眠時間との間に相関があることがわかった。しかし、回答者の多くは専業主婦であり、自分の健康診断を受ける機会をほとんど持っていないため、乳幼児健康診断の際に育児だけでなく、母親自身の健康を意識できるような保健指導も重要となることが分かった。また、今回の調査で学歴と生活習慣との間に相関があることが明確となり、子育て中の女性に健康支援も重要であるが、幼少期からの生活習慣の改善や義務教育期間中の保健行動、健康観に関する健康教育が今後の生活習慣に大きく影響を与えることが示唆できた。
|