研究課題
本年度はインドネシア・ジョグジャカルタに焦点を当て、都市部及び山間部の受療行動の違いとそれらが患者に及ぼす影響について調べることとし、2008年11月~12月、インドネシア・ジョグジャカルタの都市部及び山間部にある医療機関に通院する97名に対してアンケート調査を行った。調査内容は対象者の基本属性、民俗医療の使用状況、家族の支援、糖尿病に対する心理的負担などを尋ねたものを分析した結果、対象者は、都市部の男性26名、女性28名、山間部の男性17名、女性24名であった。平均年齢は58.3±11.4歳で、宗教は78名がイスラム教で14名がキリスト教であった。家からの通院距離が15km以上のものが都市部では0%だったのに対し、山間部では10%もいた。山間部の中には伝統医に診断をしてもらったというものも3名いた。都市部では半数以上のものが伝統薬を用いていた。一方山間部の29%のものが自然からの力に頼っていた。都市部に「治療の次のステップ」として「放っておく」と答えたものが有意に多かった。更に精神的な健康状態を知るためにSpiritual Well being testを行ったところ、山間部に、住んでいるものの方が、精神的健康状況のLife-schemeのとらえ方がよかった(9.0 vs 13.1)。本研究の結果から、山間部に住んでいるものの病院へのアクセスが困難であるにも関わらず、自然の力に頼るなどの民俗医療に根差した治療を継続していることがわかった。本研究の質問紙で得られた状況がどういう現象なのかを裏付ける調査、特にこれらの心理的状況がどのような治療行動とつながっているのかを考察する必要があると考えられた。
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近大姫路大学看護学部紀要 Vol.2
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