本研究では訪問看護師に特異的な職業性ストレスを測定するための尺度の開発を目的としている。そこで、今年度は昨年度に実施した質問紙調査により38項目からなる尺度(以下、本尺度という)を作成し、本尺度の信頼性・妥当性を検討することを目的とした質問紙調査を実施した。はじめに研究協力施設選定のために介護サービス施設・事業所調査名簿に掲載されている全国訪問看護ステーションのうち、無作為抽出した300ヶ所の訪問看護ステーションの管理者宛に研究の主旨等を記載した研究依頼の文書を送付した。その結果138ヶ所の訪問看護ステーションから返送があり、うち81ヶ所の訪問看護ステーションから研究協力の承諾が得られた。そして、研究協力の承諾が得られた訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師464名を対象として、郵送法による質問紙調査を行った。調査票は無記名とし、調査項目は(1)基本属性・勤務形態・訪問看護師経験年数・職務状況、(2)本尺度(38項目)、(3)NIOSH職業性ストレス調査票とした。 質問紙調査を実施した結果、231名から調査票の返送(回収率49.8%)があり、看護職を除く230名(有効回答率99.6%)を解析対象者とした。因子分析の結果、5因子36項目(因子負荷量0.49~0.88)が抽出され構成概念妥当性は確保できていた。また、ストレス反応としての抑うつについて本尺度の得点を比較したところ抑うつ群の得点が有意に高かったことから抑うつを判別基準とした判別的妥当性が示された。しかし、本尺度とNIOSH職業性ストレス調査票との関係では有意な相関がみられたものの相関係数がやや低かったことから併存的妥当性については今後さらに検討を重ねる必要性が示唆された。なお、本尺度のCronbachのα係数は0.950(各因子0.884~0.943)であり、内的整合性のある尺度として信頼性が確認された。
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