本年度は、先行研究の文献考証と、Stanford University Medical Center及びWHOヘルスプロモーションリサーチセンターにおいてヒアリングを行い、教育プログラムの試案を作成した。まず、先行研究の文献考証においては、ボランティア、マネジメントを含んだ文献を抽出し、さらにマネジメントについては、非営利組織・ボランティアを含んだ文献を抽出した。文献収集はこれらの資料を多数保管している東京ボランティア・市民活動センターの資料を用いた。また、日本社会学会で収録している社会学文献情報データベースからの収集もあわせて実施した。この結果47の文献を絞り込み、ボランティア、ボランティアマネジメントのアウトカムについてまとめた。文献検討の結果、(1)ボランティアは「ボランタリズム=自発性、無償性、利他性、先駆性」という理念をもって行動する、(2)ボランティア組織はアソシエーションの要素が強いため、中心にリーダーシップを取る者をおくことで機能する、(3)組織行動の異なるボランティア組織の場合は、その特徴に考慮したマネジメント手法が求められる、ということが明らかとなった。また、Stanford University Medical Centerにおいて、ボランティアトレーニングプログラムの企画運営者に対してヒアリングを行い、特にボランティアに対する初めの動機付けの大切さ(効果的な教育プログラムの展開の重要性)とボランティア活動の継続に向けての個々のボランティアへの働きかけの大切さについての情報を得た。さらに、WHOヘルスプロモーションリサーチセンターにおいて、活動に従事するボランティアから情報収集を行い、教育プログラムの試案を作成した。来年度はこの試案をもとに実際に教育プログラムを展開する予定である。
|