本研究は、「精神科・身体科の比較を通して、身体化症状を呈する患者への心身両面の適切な看護ケアを明らかにし、「身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドライン」を作成すること」を目的としている。平成19年度は、「身体科・精神科において身体化症状を呈する患者の心身両面の病態を整理し、その患者にどのような看護ケアが実施されているかを明らかにする」ことを目的として研究を計画し、当該施設の倫理委員会の承認を得た。 結果を以下に述べる。 (1)患者の心身の病態を整理する。 身体科・精神科において、同意を得られた身体化症状を呈する患者の心身両面の病態を診療記録や看護記録を参照して整理した。その結果、身体化を訴える患者は、主に<精神症状(主にうつ・不安・緊張)に伴う身体症状><身体表現性障害><その他…パーソナリティ障害、詐病など>の3つに大別され、それぞれの症状の訴え方や時期が異なることが明らかになった。 (2)(1)で心身の病態を整理した患者に対し、どのような看護ケアが実施されているかを明らかにする。 研究対象となった患者の看護にあたっており、同意の得られた看護師23名に研究への協力依頼し、看護ケアの場面を参与観察し、詳細なフィールドノーツに記録し、適宜インタビューを実施した。その結果、看護師は、主に<身体疾患の鑑別のための観察><精神症状の判断><支障のある日常生活行動への援助><つらさの受容><生育歴・環境のアセスメント><感情の言語化の手助け・促し>の看護ケアを実施していることが明らかとなった。今後は、身体化症状を呈する患者の病態のアセスメント方法や、心身の病態に対し、どの看護ケアが適しているか分析を進め、ガイドライン化していく予定である。
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