本研究は、「精神科・身体科の比較を通して、身体化症状を呈する患者への心身両面の適切な看護ケアを明らかにし、「身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドライン」を作成すること」を目的としている。平成21年度は、平成19年度・20年度に精神科・身体科の比較を通して明らかにした心身両面の適切な看護ケアをふまえ、「身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドライン」を作成し、評価した。 「身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドライン」はアセスメントに応じて看護ケアを選択する下記の内容で構成された。アセスメントは、<身体化症状の重症度の評価><身体的影響因子><精神的影響因子><心理社会的因子><自律神経症状><発達段階・家族システム><認知行動学的因子(疾病行動・強化刺激・身体化症状に対する認知および対処法)><疼痛行動のパターン><生活及び役割機能障害>で構成されている。看護ケアは、【患者-看護師の信頼関係の構築】【身体化症状により低下したセルフケアの補足】【治療の概要と理論的根拠の提供】【治療の対象となる症状の見直し】【認知行動療法的な関わり】【身体化症状に対する適応行動の頻度の強化】【言語化および直面化の促し】【気分転換の促進】【リラクゼーション】で構成されており、アセスメント結果に応じて組み合わせる内容を選択する。 精神科において身体化症状を呈する患者に対して「身体化症状を呈する患者に対する看護ケアガイドライン」を用いた結果、体系的に統一した看護が実施し、身体化症状に対する適応行動の頻度を強化することで退院につなげることが可能となった。
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